「腕時計を使ったことがありますか?」と聞くと、ほとんどの方が「はい」と答えられると思います。
しかし、「ヴィンテージ時計を使ったことがありますか?」と聞くと、おそらく時計ユーザー全体の1%にも満たないのではないでしょうか。
このページをご覧いただいているということは、少なからずヴィンテージ時計に興味をお持ちの方だと思います。
実は、新品や現行モデルの腕時計とヴィンテージ時計では、使い方や取り扱い方に明確な違いがあります。
その違いを十分に理解しないまま使用してしまうと、不用意な操作によって故障の原因となることもあります。
そこでこのページでは、ヴィンテージ時計を長く安心してお使いいただくために、基本的な使い方や日頃の取り扱い、注意点についてわかりやすくご紹介いたします。
すでにヴィンテージ時計をご愛用いただいている方も、新たな発見があるかもしれません。
ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
・まとめ
ヴィンテージ時計を使う前に
ヴィンテージ時計とは、1970年代以前に製造され、すでに50年以上が経過している時計のことを指します。
ヴィンテージ時計は、現行モデルのような新しい時計とは、ムーブメントの設計や性能基準そのものが異なるため、同等の精度や性能を期待することはできません。
また、一般的にはヴィンテージとは呼ばれない1980年代〜2000年代に製造された時計であっても、すでに生産終了から長い年月が経過しているモデルについては、同様の考え方が当てはまります。

【使用する際の注意点】
ヴィンテージ時計の場合、一般的に【日差±1分以内】までであれば許容範囲とされています。
さらに古い1950年代以前の時計の場合は、【日差±3分以内】までを許容範囲としてください。
ご使用になる条件(着用時間・時計の姿勢・腕の動き・ゼンマイの巻き上げ・具合温度の変化など)によっては、日差が変わる場合もございます。
また、スポーツやバイクの運転など、強い振動や衝撃が加わる可能性がある場面では、故障防止のため必ず腕から外してください。
手巻き時計を使う前に
「手巻き」とは、ゼンマイを手動で巻き上げる方式のことです。
リューズを12時方向に回すとゼンマイが巻き上がります。
※逆方向(6時方向)に回してもゼンマイは巻き上がりません。

【使用する際の注意点】
リューズの回転が重くなり、リューズが回せなくなったら巻き止まり(ゼンマイの巻き上げが満タンな状態)となり、巻き上げ完了です。巻き止まりまで行わないと精度が安定しません。
※そこから無理にリューズを回してしまうと、ゼンマイが切れてしまうことがありますので、巻き止まりましたらそのままお使い下さい。
ゼンマイの巻き上げは、毎日1回、同じ時間に行うことをおすすめします。
完全にゼンマイが巻き上がった状態と時計が止まる寸前では、時計の進み方が異なってくるため、時間を決めて習慣にすることで、時計の動きが安定します。
自動巻き時計を使う前に
「自動巻き」とは、ゼンマイを自動で巻上げる方式のこと。
ローターと呼ばれるパーツが腕の動きに合わせ回転することで、自動的にゼンマイを巻き上げていく方式です。

【使用する際の注意点】
完全に止まっている状態から自動巻きの時計を使用する場合は、【30~40回ほど手巻きをして】からご使用ください。
自動巻きの時計には、ゼンマイの巻き過ぎを防ぐスリップ機構が備わっているため、巻き止まりはありません。
※毎日着用していても、デスクワークが主で十分な腕の動きが無いなどの場合は、すぐに止まってしまったり精度が著しく悪くなってしまったりすることがあります。この場合も手巻きを併用してご使用ください。
手巻き機能が備わっていない時計の場合、時計を利き手で持ち、手首のスナップを効かせて、反対の手のひら(親指の付け根の柔らかい部分)に、ポンポンと軽く当てるように振ってください。
こうすることで、内部のローターが効率的に回転し、ただ闇雲に振るよりも確実にゼンマイを巻き上げることができます。
上記の方法で約5分ほど振り続けるとゼンマイが巻き上がります。(あくまでも目安です。)
※時計を激しく振ったり、上下に大きく振ったりすると、内部の部品に負担がかかり、故障の原因となるおそれがありますので、ご注意ください。
リューズの操作をする前に
リューズには、大きく分けて「引き出し式リューズ」と「ねじ込み式リューズ」の2種類があります。
また、時刻合わせや日付変更を行う際のリューズの操作方法は、「通常位置(0段位置)」「1段引き」「2段引き」など、モデル(ムーブメント)によって異なります。
それぞれの操作方法については、別ページで詳しくご紹介いたします。
腕時計の操作とカレンダーの早送り方法について【腕時計基礎ガイド】
ねじ込み式リューズを操作する前に
「ねじ込み式リューズ」とは、防水性能を高めるためにリューズを時計本体にネジ留め(ロック)する構造のことです。

【使用する際の注意点】
リューズを6時方向に回すと、ロックが解除されます。
リューズ操作を行う時以外は、常にロックされた状態にしておいてください。
※リューズロックが解除されたまま使用すると、リューズと時計の間に隙間が生じ、防水面でのトラブルや衝撃によりリューズ(巻き真)が折れてしまうことがあります。
リューズ操作が終わったら、リューズをケースに押しつけながら12時方向に回し、止まるところまでしっかりねじ込んでください。
※過度な力で無理やりねじ込んだり、斜めに力を加えてしまうと、ねじ山が破損する恐れがありますのでご注意ください。
ジョイント巻真式のリューズを操作する前に
ジョイント巻真とは、途中で着脱できる特殊な構造を採用した巻真のことです。
この機構は「引き出し式リューズ」の一部のモデルに採用されるもので、ケースからムーブメントを取り出す際に、巻真をムーブメント側とリューズ側に分離できるよう設計されています。
そのため、裏蓋のないワンピースケースのモデルを中心に採用されています。

【使用する際の注意点】
リューズ操作を行う際は、リューズとケースの間に爪を入れ、軽くずらすような感覚で引いていただくことで、故障のリスクを抑えることができます。
操作を終えた後は、必ずリューズを押し込み、通常位置まで戻してください。
ジョイント巻真式のリューズはその構造上、強く引っ張ると抜けてしまうことがあります。
※もし、リューズが抜けてしまった場合は、部品を無くさないよう保管し、早急にご連絡ください。
カレンダーの早送り操作をする前に
時計には「カレンダーの早送りをしてはいけない時間」が存在しますので、あらためてご説明させていただきます。
【カレンダーの早送り操作についての注意点】
カレンダーの早送り操作が禁止されている時間は、
ほとんどの腕時計で【午後8時から午前4時までの8時間】と定められています。

現在の時計の針の位置が「午前か午後かわからない」という場合は、6時に時刻を合わせることで、禁止時間帯から外れるようになります。
31日までない月の場合も、カレンダーの早送り操作を行う必要がございます。
カレンダーの早送り操作の方法については、ムーブメントによって異なります。
詳しくは、腕時計の操作とカレンダーの早送り方法について【腕時計基礎ガイド】をご覧ください。
クロノグラフを操作する前に
クロノグラフとは、ストップウォッチ機能と時刻表示機能を合わせ持った時計のことです。
時計そのものを指す言葉ではありますが、【クロノグラフ=ストップウォッチ機能】とご理解ください。

【使用する際の注意点】
クロノグラフは、機械式時計の中でも特に精密な構造を持つため、振動や衝撃には十分ご注意ください。
クロノグラフを操作する際は、ケースをしっかりと支えながら、プッシャーを対角線方向に最後まで押し込んでください。
※途中までしか押されていない状態や、斜め方向から力を加える操作は、故障の原因となる場合があります。
※クロノグラフを常時作動させたままにすると、内部パーツの摩耗を早める原因となります。計測時以外は停止した状態でご使用ください。
なお、クロノグラフ作動中は通常時と比べて精度(日差)が変化する場合がありますが、異常ではありません。
防水についての注意点
当時の防水性能の基準は、現代の防水基準とは異なります。そのため、ヴィンテージ時計は基本的に非防水としてご使用ください。
ヴィンテージ時計は、長年の経年変化により、製造当時の防水性能を維持することができません。
そのため、ダイバーズウォッチであっても、またオーバーホールを終えたばかりの時計であっても、防水性は保証できません。

【使用する際の注意点】
小雨程度であれば、時計を着けている腕で傘をさしたり、袖口で時計を覆ったりして、水滴が直接かからないようご注意ください。
一方で、激しい雨の際は時計が濡れるおそれがありますので、あらかじめ腕から外し、安全な場所で保管してください。
※万が一時計に水滴が付着した場合は、柔らかいタオルなどで時計全体の水分を丁寧に拭き取り、風通しの良い場所で十分に乾かしてからご使用ください。
まとめ
今回ご紹介した内容は、ヴィンテージ時計をお使いいただくうえで、特に覚えておいていただきたいポイントです。
お手にとっていただく時計の状態や仕様によっては、個別にさらに詳しい取り扱い方法をご案内する場合もございます。
私たちは、ヴィンテージ時計はぜひ日常の中でお使いいただきたいと考えています。
「壊れるかもしれないから使わない」のではなく、「もし何かあればスイートロードに相談しよう」というくらいの気持ちで、安心してお使いいただければ幸いです。
ヴィンテージ時計は適切なメンテナンスを行うことで、これから先も長く付き合っていくことができますので、皆さまの大切な一本を末永くサポートさせていただきます。
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