時計にとって必要不可欠な「巻真(まきしん)」というパーツをご存じでしょうか。
あまり目立たない部品ではありますが、非常に多くの要素が関わる、最も重要なパーツのひとつです。
さらに、その巻真に種類があることをご存知でしたか?
今回はヴィンテージウォッチを語るうえで欠かせない、「巻真」と「ジョイント巻真」についてご紹介させていただきます!

目次
巻真(一本巻真)とは
リューズとムーブメントを繋ぐ、細い金属製の軸のことです。
リューズを回してゼンマイを巻いたり、リューズを引いて時刻合わせをしたりと、操作する機会も多い非常に重要なパーツです。

通常の巻真は、一本の金属棒を加工して作られています。
ここでは後述するジョイント巻真と区別するため、「一本巻真」と呼ばせていただきます。

ジョイント巻真とは
一本巻真とは違い、途中で分解できる特殊な構造を採用している巻真のことです。
ムーブメント側とリューズ側に分かれる仕組みになっており、主に裏蓋のないワンピースケースのモデルに採用されています。

凸型のパーツ(オス巻真)と凹型のパーツ(メス巻真)から構成されており、互いに噛み合うことでしっかりと保持される構造になっています。


ジョイント巻真は主に、通常よりも高い防水性能を誇る、裏蓋のないモノコック構造のワンピースケースに採用されていました。
その他にも、ムーブメントを取り出しやすいことや、優れたデザイン性を実現できたこともメリットのひとつで、ワンピースケース以外にも使用されていました。
ちなみに英語では「Split winding stem」「Two piece stem」とも呼ばれています。
ジョイント巻真が採用されているヴィンテージモデル
・オメガ シーマスターコスミック
・オメガ シーマスターコスミック2000
・オメガ ジュネーブダイナミック
・ロンジン アドミラル
・ハミルトン マスターピース
・ハミルトン イギリス軍納入品
など
この他にも、オメガやIWCのワンピースケースモデル、ブローバやロンジンのツーピースケースモデル、パテック フィリップ カラトラバの一部モデルにも採用されています。
モデルによって凹型と凸型が逆に設計されていたり、デザインが異なっていたりする点も魅力のひとつです。
ジョイント巻真の取り扱いについて
ジョイント巻真の弱点として、「強く引っ張ると抜けてしまう」という点が挙げられます。
そのため、リューズとケースの間に爪を入れ、軽くずらすような感覚で引いていただくことで、故障のリスクを抑えることができます。
操作を終えた後は、必ずリューズを押し込み、通常位置まで戻してください。

もし外れてしまったら・・・
もしジョイント巻真が外れてしまっても、ご自身で戻そうとはしないでください。
これは一本巻真にも共通して言えることですが、外れた巻真を無理に押し込んだり、リューズが引かれた状態で使用を続けたりすると、衝撃や不慮の事故によって巻真が折れてしまう危険性があります。
外れた巻真やリューズを紛失しないよう大切に保管し、お早めにスイートロードまでご相談ください。
また、その構造上どうしても隙間が生じてしまうため、長期間メンテナンスを行っていない場合には、サビや摩耗などの経年劣化が発生する可能性があります。
オーバーホールやその他のメンテナンスについても、お気軽にご相談くださいませ。
