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ヴィンテージウォッチとは

こんにちは。

スイートロード川崎店 副店長の石井です。

皆さん、ヴィンテージウォッチについて、漠然としたイメージはお持ちでしょうが、なかなか定義まで理解されている方は少ないのはないでしょうか?

というわけで、今回は「ヴィンテージウォッチとは」どんなモノなのか、解説していきたいと思います。


目次

ヴィンテージウォッチとは

ヴィンテージウォッチの魅力

ヴィンテージウォッチのウィークポイント

ヴィンテージウォッチのメンテナンス


ヴィンテージウォッチとは

ヴィンテージウォッチの定義

古いモノを指す言葉として、「ヴィンテージ」という表現がよく使われますが、一般的に「ヴィンテージ」とは、「製造から約30〜99年経ったモノ」を指します。

一方、もうひとつ古いモノを指す言葉として、「アンティーク」という表現がありますが、こちらは「製造から100年以上経ったモノ」を指します。

ヴィンテージ=「製造から約30〜99年経ったモノ」

アンティーク=「製造から100年以上経ったモノ」

とりわけ、腕時計においては、一般的に「1970年以前に製造されたモデル」のことをヴィンテージウォッチ、アンティークウォッチと呼んでいます。

その主な理由は、

・腕時計の歴史はまだまだ浅く、現在でも実用に耐える機械式腕時計となると、100年以上前のモデルはほぼ存在しないから

・1970年初頭(正確には1969年年末)に、日本が誇るSEIKOから「世界初のクオーツ式腕時計(電池式腕時計)」が発売され、それ以降、「機械式腕時計の時代」から「クオーツ式腕時計の時代」に変遷していったから

ちなみに、日本においては、先の「ヴィンテージ」、「アンティーク」の定義が浸透していないためか、「ヴィンテージウォッチ」と「アンティークウォッチ」と同等の意味合いで、混在した表現が使われています。


ヴィンテージウォッチの魅力

昨今、多くの人を魅了しているヴィンテージウォッチですが、一体、どこに魅力があるのでしょうか?

主な魅力点と挙げてみると・・・

・1点モノで、人とは被らない

発売当時は、それなりの数が製造されていたモデルも、時を経たことで、故障したり、紛失したりと、徐々に数は減っています。

また、様々な環境で使われたり、時間の経過による経年変化により、同じモデルでも、各個体によって、傷の付き具合や文字盤の見え方が異なります。

そのため、一つとして同じものはなく、人とは違うモノがほしい人、人と被るのがイヤな人にとっては、新品の腕時計よりもヴィンテージウォッチの方が魅力的です。

・ヴィンテージウォッチにしかないデザイン、雰囲気が楽しめる

機械式腕時計には、販売を開始してから何十年も経ちながらも、現在もなお、製造・販売されているモデルが多々あります。

このような腕時計は、同じモデル名とはいえ、時代の流れの中で、よりよい製品になるべく進化をし、仕様を変更しながら製造を続けています。

すると、人によっては「モデルチェンジする前の仕様の方が好きだった」と、仕様変更した新型よりも旧型を好む人がおり、この場合、旧い仕様のヴィンテージウォッチを選ぶしかありません。

これは、時計の見た目(時計本体や文字盤、針等)に限らず、内部の機械においても同じことが言えます。

また経年変化を経た、独特の雰囲気を纏っているのもヴィンテージウォッチならではの特徴です。

このような点に魅力を感じる人にとっては、ヴィンテージウォッチこそが最良の1本になります。

・一流メーカーの高級機械式腕時計が、比較的リーズナブルな価格で買うことができる

ヴィンテージウォッチというと、人によっては骨董品や美術品のように、高価な印象を抱いているかもしれませんが、決して、そのようなことはありません。

もちろん、一部、そのようなモデルは存在しますが、多くの場合、現在発売されている新品の機械式腕時計よりも手頃な、リーズナブルな価格で買うことができます。

このように、新品の腕時計にはない魅力があるのが、ヴィンテージウォッチなのです。


ヴィンテージウォッチのウィークポイント

もちろん、魅力だけではなく、ヴィンテージウォッチならではのウィークポイントもあります。

非防水(防水性が担保できない)

多くのヴィンテージウォッチが、「非防水」となっています。

その理由は、製造から長く経っており、防水性が担保できないことが1番の理由です。

時間の経過(経年)により、新品時よりも気密性が保たれなくなっています。

そのため、水が掛かったり、水の中に腕時計を入れるような使い方はできません。

また、水が時計内部に入ってしまった場合、内部の機械(ムーブメント)はもとより、文字盤や針等に水入りによる損傷(サビや腐食、変色等)が発生し、もとの状態に戻すことができないことが多々あります。

とはいえ、このようなウィークポイントをきちんと理解した上で、使用すれば決して怖がる必要はありません。


ヴィンテージウォッチのメンテナンス

機械式腕時計は、定期的なメンテナンス(オーバーホール)が必須です。

自動車でいう「定期点検」や「車検」に当たるものと考えるとわかりやすいかもしれません。

※オーバーホールとは、「分解・清掃・再組み立て」のことで、機械(ムーブメント)を部品単位までバラした上で、汚れや古い潤滑油等を洗浄し、新たに注油しながら組み上げて、精度を調整する作業のこと。

このメンテナンス(オーバーホール)は、現行品(メーカー実施)とヴィンテージウォッチとでは、考え方(スタンス)が異なります。

・ヴィンテージウォッチのメンテナンス

ヴィンテージウォッチのメンテナンスでは、「まだ使用できるパーツはできる限り活かしながら」オーバーホールを行います。

その理由は、もちろん古いパーツの代替品が簡単に入手できないことも理由の一つですが、内部の機械においても、できる限り、製造当時のパーツを使用してオリジナル性を維持していきたいという考え方があるからです。

交換パーツが手に入れば交換すればよいのですが、入手が困難な場合には、不具合パーツを修理した上で、使うことも多々あります。

当時のパーツを使用しながらも、現代においても時計として稼働しているということが、ヴィンテージウォッチの魅力だからです。

そのため、メンテナンス完了後でも、経年パーツが理由による不具合が出る場合があることは、理解しておかなくてはなりません。

・現行品のメンテナンス(メーカーメンテナンス)

一方、現行品のメンテナンスをメーカーに行う場合、基本的に「新品時の状態にできる限り戻す」という考え方で、オーバーホールを行います。

そのため、例えば、文字盤や針の夜光が光らない場合には、時計としての時間を示すという機能には問題がなくても、「文字盤」や「針」の交換が必須になる場合があります。

また、メーカーメンテナンスの場合、基本的に不具合パーツがあった場合、パーツ自体を新品パーツと交換する形でメンテナンスを行います。

それゆえ、ヴィンテージウォッチのような製造から30年以上も経っているモデルの場合、メーカーによっては交換用パーツがないため、メンテナンスを断られることもしばしばあります。

一見すると、メーカーでのメンテナンスが、最善で安心な印象がありますが、ことヴィンテージウォッチにおいては、必ずしもそうとは限りません。

メーカーにメンテナンスを出したがゆえに、パーツが交換されてしまって、ヴィンテージウォッチとしての価値を毀損してしまうケースもあります。

ヴィンテージウォッチにおいては、どこにメンテナンスを依頼するかも重要なポイントです。


まとめ

ヴィンテージウォッチについて、ご理解いただけましたでしょうか?

いろいろとお伝えしましたが、ヴィンテージウォッチは決して難しいものでも、詳しい人向けのものでもありません。

誰もが気軽に楽しめるのがヴィンテージウォッチです。

特性を正しく理解した上で、旧いモノである故に、多少のいたわりをもって使っていただければ、これほど魅力的なものはありません。