コンステレーション(CONSTELLATION)とは
今回は、オメガを代表する名作「コンステレーション」シリーズについて深く掘り下げてご紹介します。
コンステレーションは、オメガの腕時計の中においても、卓越した技術による高度な構造と確固とした精度の追求、かつ革新的なデザインを見事に融合させた傑作です。
長い歴史を持つこのモデルの魅力を詳しく解説します。
目次
コンステレーションの誕生
天文台クロノメーターコンクールの歴史的背景
1950年代、スイス時計産業は「精度の戦争」と呼ばれる競争の真っ只中にありました。
その中心となったのが「天文台クロノメーターコンクール」です。
この競争では、各メーカーが自社の技術を結集して製作したムーブメントを提出し、スイス天文台で厳格な精度試験(クロノメーター検定)を受けました。
オメガは1930年代から積極的に参加し、幾度となく優勝を果たしました。
この競争で培った技術が、後の「コンステレーション」シリーズの基盤となったのです。
クロノメーター認定を全モデルに採用
1952年に発表されたコンステレーションは、全モデルがスイス公式クロノメーター認定を受けるという、当時、他にはない特徴を備えていました。
通常、クロノメーター認定は特別なモデルのみに適用されるものでしたが、オメガはこの基準をコンステレーション・シリーズ全体に導入しました。
これにより、コンステレーションは高精度時計の代名詞となり、顧客から絶大な信頼を得ることになりました。
コンステレーションの前身モデル
前述の通り、1952年にコンステレーションは発表されましたが、実は、前身モデルというべき時計が存在します。
それは、1948年に発表された「センテナリー(centenary)」というモデルです。
このセンテナリーは、その名前の通り(センテナリー=100周年という意味)、オメガの創業100周年を記念して発売され、オメガによるとトータル6,000本が製造され、そのすべてが金無垢ケースという高級仕様でした。
この時計は好評だったようで、オメガはこの時計をベースにしたモデルを製作することを決定しました。
それが、1952年に発表された「コンステレーション」なのでした。
コンステレーションとは
ブランド哲学が込められたデザイン
「コンステレーション」という名前は、星座を意味しています。
これは、精密な時間精度(天文台クロノメーター)を象徴する名前として選ばれました。
裏蓋に刻まれた「天文台と8つの星」のメダリオンは、オメガがキュー・テディントンおよびジュネーブの天文台で20世紀中盤に達成した、天文台クロノメーターコンクールでの成功と(精度における6つの記録)を記念して採用したものです。
このように、コンステレーションは精度や時計技術だけでなく、その名前やデザインにも深い意味が込められているのです。
スイス時計業界に与えた影響
既述の通り、クロノメーター認定を全モデルに適用したコンステレーションは、他社メーカーにも多大な影響を与えました。
これにより、高精度な時計が業界全体の標準となり、スイス時計の信頼性向上に寄与したのです。
この革新性こそが、コンステレーションが時計史に名を刻む理由の一つです。
「コンステレーション」は、現在においても、オメガが誇るフラッグシップモデルとして、常に同社の最高技術を集結したシリーズとして君臨しています。
代表的なヴィンテージモデル
コンステレーションシリーズは、1950年代から続く長い歴史の中で、時代ごとにデザインを進化させてきました。
たとえば、クラシックなラウンドケースから、斬新な12角形ダイヤル、そしてCラインモデルへと変遷を遂げましたが、どのモデルも普遍的な美しさを保っています。
このタイムレスなデザインは、コンステレーションが持つ最大の魅力の一つです。
初代コンステレーション
1950年代に登場した初代コンステレーションは、クラシックなラウンドケースを採用しました。
シンプルでありながらも、エレガントさを兼ね備えた高級機として登場し、デザインの調和と実用性が両立されたエレガントな時計として一躍注目を集めました。
また、このラウンドケースは、その後のモデルにも受け継がれ、オメガのデザイン哲学を象徴する重要な要素となりました。
特に、文字盤の6時位置に星マークが配置されたデザインは、その後もコンステレーションのアイコニックな要素となっています。
初代コンステレーションは、ハーフローター(バンパーローター)式の自動巻きムーブメント(Cal.351、352、354)を採用しています。
これは、ローターが360°は回転せず、回転の途中で、ローターが途中でバンパースプリングに当たり、その反動でローターが往復して主ゼンマイが巻き上がる仕組みです。
このハーフローターのムーブメントは、手首に装着すると、コツンと、ローターがバンパーにあたって跳ね返っているのを実際に感じることができます。
12角(パイパンダイヤル)
初期のコンステレーションを代表する12角形のダイヤルデザインのモデルは、視覚的なインパクトが強く、他にはない個性的なデザインが特徴です。
このダイヤル形状は、時計全体に立体感を与えるだけでなく、ダイヤルの強度を高める役割も果たしています。
さらに、ダイヤルの外周の12面の端面(ファセットカット)が、光の反射を美しく演出します。
この12角形のダイヤルは、通称「パイパンダイヤル」と呼ばれています。
これは、パイ皿(pie pan)を裏返しにしたような形の見た目からこのように呼ばれています。
日本では通称「12角」とも呼ばれています。
Cライン(ジェンタモデル)
「コンステレーション・ジェンタ」も先の「12角」とともに、コンステレーションにおいて、人気を二分する代表的モデルです。
多くの人が周知の通り、数多くの時計ブランドにおいて、時計デザインを手掛け、最も成功したと言っても過言ではない時計デザイナー「チャールズ・ジェラルド・ジェンタ」がデザインを手掛けたのが、この「コンステレーション・ジェンタ」です。
(Charles Gérald Genta:1931-2011 )
彼がデザインを手掛けたこのモデルは、ラウンドケースとは異なる新しいアプローチで、ケースとラグが一体化した滑らかなトノー型(樽型)デザインが特徴です。
前期型では、プラスチック風防が採用されており、より丸みを帯びた柔らかなラインが強調されています。
一方、後期型ではガラス風防が採用され、前期型に対して、直線的でシャープなフォルムが特徴的です。
ちなみに、ダイヤルデザインにおいても、前期型と後期型では仕様の違いがあります。
前期型は6時位置に星のマークが入っているのに対して、後期型では星のマークはなくなり、6時位置に「OMEGA」のロゴが入るようになりました。
【前期型】
【後期型】
このトノー型のケースデザインは、1960年代から70年代にかけての時計業界におけるモダンな潮流を象徴しています。
インテグレート
1970年代に登場したインテグレートモデルは、ケースとブレスレットが一体化した未来的なデザインが特徴です。
ちなみにインテグレートとは「一体化」という意味です。
このモデルは、当時の新素材や製造技術を活用しており、軽量かつ耐久性の高い時計として人気を博しました。
今までにない四角形のダイヤルデザインなど、ケースやブレスレットのデザインと相まって、当時はかなりセンセーショナルなデザインであったことは想像に難しくありません。
まとめ
当時の最高峰の技術を集約したコンステレーションは、美しいデザインに加えて、日常使いに適した耐久性や精度の高さを兼ね備えています。
まさに「実用性と美学の融合」こそが、コンステレーションの魅力と言っても過言ではないでしょう。
ヴィンテージ時計としても、当然ながら、歴代のコンステレーションは常に高い評価を受けています。
その一方で、まだ比較的手に入れやすい価格で流通しているのも魅力のひとつです。
当店では、コンステレーションをはじめとしたヴィンテージオメガの時計を数多く取り扱っております。
興味を持たれた方は是非、お店まで足を運んでみてください。