スピードマスター(SPEEDMASTER)とは

こんにちは。

スイートロード川崎店 副店長の石井です。

今回は、オメガを代表する「スピードマスター」について、ご説明します。

多くの方がご存知の通り、「スピードマスター」といえば、イコール「ムーンウォッチ/MOON WATCH」という認識の通り、初めて月に行った時計という点で有名ですね。

なぜ、ここまで人々を魅了するのか、そんな「スピードマスター」の魅力に迫っていきます。


目次

スピードマスターとは

スピードマスターの主要歴代モデル

1stモデル(ファーストモデル)

2ndモデル(セカンドモデル)

3rdモデル(サードモデル)

4thモデル(フォースモデル)

5thモデル(フィフスモデル)

プロフェッショナルモデル

スピードマスターの魅力


スピードマスターとは

オメガは、1957年に、俗にいう「マスター三部作」と呼ばれる、3本の時計を発表しました。

・時間計測に特化した「スピードマスター(Ref.CK2915)

・防水性能に特化したシーマスター300(Ref.2913)

・精度と耐磁性に特化した「レイルマスター(Ref.CK2914)

モデル名からもわかる通り、はじめから月に行くために作られたわけではなく、「スピード」という言葉の通り、モーターレース、モータースポーツシーンを想定して作られた時計でした。

走行時間や平均時速などを計測するためのクロノグラフを搭載したモデルだったのです。

当時のスピードマスターの広告を見ると、モーターシーンの描写が数多く見られます。

オメガのホームページによると、スピードマスターがNASAに正式採用されたのは1965年。

当時、NASAは人類初の月への有人宇宙飛行計画である「アポロ計画」を進めており、それに際して、装備品として「宇宙空間でも使用できる耐久性のある時計」を探しており、そのNASAからのオファーに対して、オメガ、ロレックス、ロンジン、ハミルトン、ブローバ、ミドー、エルジンなど計10社が耐久試験に参加した結果、オメガの「スピードマスター」が選出されました。

このように、もともと宇宙で使用することを想定して作られた時計ではなく、気密性や防水性、精度、耐磁性、時間計測精度など、あらゆる環境でも耐えられるように作った結果、宇宙空間でも問題使えた時計が「スピードマスター」だったということです。


スピードマスターの歴代モデル

ここでは、主だった『スピードマスター』の歴代モデルを説明します。

1stモデル(ファーストモデル)

2ndモデル(セカンドモデル)

3rdモデル(サードモデル)

4thモデル(フォースモデル)

5thモデル(フィフスモデル)

プロフェッショナルモデル


1stモデル(ファーストモデル)

リファレンス:CK2915

製造期間:1957年-1959年

大きな特徴は針の形状。

ブロードアロー針と呼ばれる短針がアイコニックで、ベゼルはスチール製のベゼル自体にタキメーターの文字が彫り込まれています。

インダイヤルの小針はアルファ針で、オメガのマークは立体的なアプライド仕様。

モデル表記は「Speedmaster」の文字のみで、夜光は「ラジウム」仕様です。

ムーブメントはピラーホールが特徴の「Cal.321」を搭載しています。


2ndモデル(セカンドモデル)

リファレンス:CK2998

製造期間:1959年-1963年

ブロードアロー針が廃止され、時分針は「アルファ針」に変更となり、ベゼルもスチールに直接彫り込まれたものから、アルミ製の黒のベゼルインサート仕様に変更されています。

インダイヤルの小針は、当初はアルファ針でしたが、最終的にはストレート形状のものに変更となりました。

オメガのマークは立体的なアプライド仕様で、モデル表記は引き続き「Speedmaster」の文字のみです。

夜光は「ラジウム」仕様で、ムーブメントは「Cal.321」を搭載しています。


3rdモデル(サードモデル)

リファレンス:ST105-002

製造期間:1963年-1968年

時分針がアルファ針から、ペンシル針(ストレート針)へと変更され、スタート・リセットプッシャーの径が大きくなり、最終的に現行と同じ5mmになりました。

オメガのマークは立体的なアプライド仕様で、モデル表記は変わらず「Speedmaster」の文字のみ。

夜光は「ラジウム」から「トリチウム」に変わり、ムーブメントは「Cal.321」を搭載しています。

ちなみに、ジェミニ計画の宇宙飛行士であったエドワード(エド)・ホワイト(アメリカ空軍少佐)が、アメリカ初の宇宙遊泳(船外活動)を行った際、「Ref.ST105.003」を着用しています。


4thモデル(フォースモデル)

リファレンス:ST145.012

製造期間:1964年-1968年

NASAの要望で初めてケースに竜頭ガードが付き、外観は現行モデルにだいぶ近くなります。

オメガのマークは立体的なアプライド仕様のままですが、モデル表記の「Speedmaster」の下に「PROFESSIONAL」表記が入るようになりました。

夜光は「トリチウム」仕様です。

ちなみに、ピラーホールが特徴の「Cal.321」を搭載しているのはこのモデルまで、以降は後継機となる「Cal.861」が搭載されるようになります。

製造年代は、前モデルの「3rdモデル」と被っており、併売されていたと考えられます。


5thモデル(フィフスモデル)

リファレンス:ST145.022

製造期間:1969年-1988年

大きな変更点は、ムーブメントが「Cal.321」から「Cal.861」に変わったことです。

それまでは「ピラーホイール式」のクロノグラフムーブメントでしたが、生産効率の高い「ハートカム式」のクロノグラフムーブメントに変更されました。

また、外見の面では、オメガのマークが立体的なアプライド仕様のものから、プリント仕様に変更されています。

夜光は「トリチウム」仕様ですが、それまで文字盤にあったミニッツメモリ内側の段差がなくなり、フラットな文字盤となりました。


プロフェッショナルモデル(前期)

リファレンス:3590.50

製造期間:1988年-1996年

1988年にオメガのリファレンス番号の管理方法が一新され、新しいPIC(Product Identity Code)が使用されることになりました。

それに伴い、リファレンスも「ST145.022」から「3590.50」に変更されましたが、デザインやモデルの仕様、搭載のムーブメントに大きな違いはありません。

プロフェッショナルモデル(後期)

リファレンス:3570.50

製造期間:1996年-2014年

こちらもデザインやモデル仕様に大きな違いはありませんが、ムーブメントが「Cal.861」の後継機「Cal.1861」に変更されています。

構造的な変更はなく、ムーブメント全体のメッキの仕上げ方法がロジウムメッキに変わり、それまで「黄色」の色味だったものが、「シルバー」の色味になっています。

また、1990年代後半には、トリチウム夜光から放射性物質を含まない「ルミノバ夜光」に変更されました。


スピードマスターの魅力

知名度が抜群に高い

月に行った時計と言えば、「オメガ・スピードマスター」と多くの人が認知している通り、オメガを代表する時計と言っても過言ではないほどの知名度があるのが「スピードマスター」。

この知名度の高さも、この時計の魅力の一つです。

逸話が豊富

再三、触れたように「月に行った時計」として有名ですが、それ以外にもいくつもの逸話が残っています。

例えば、アポロ13号は月に向かう際、酸素タンクの爆発事故を起こし、急遽、地球に戻らなければならない事態に陥りました。

宇宙飛行士たちはそのような状態で大気圏突入するための準備をして、「14秒」という燃料燃焼時間を正確に測らなくてはならなかったのです。

その時、時間の計測に使われたのが「スピードマスター」だったわけです。

このような逸話をきくと、やはり誰もが一度は手にしてみたいと思うはずです。

今も昔も変わらない「普遍性

『スピードマスター』といえば、「手巻き」を連想する方も多いはず。

「自動巻きムーブメント」を搭載した派生モデルもありますが、「ムーンウォッチ」といえば、やっぱり手巻き。

初代のファーストモデルから、ムーブメントの仕様は多少変わっても現行のスピードマスターも今だに手巻き。

この変わらない姿勢だからこそ、いつになっても決して古くならないのがスピードマスターなのです。

この「普遍性」こそが最大の魅力かもしれません。


まとめ

このようにみてくると、オメガが「スピードマスター」をいかに大切に、誇りを持って現在も作り続けていることがわかります。

もちろん、その背景には今も多くの人から支持される人気のモデルである確証があってこそのもの。

旧いアンティークモデルは入手も困難で、非常に高価ですが、長く作り続けられているモデル故に、まだ手に入れやすい年式のものがあるのも事実。

また、派生モデルや仕様違い、限定モデルなどバリエーションが多いのもスピードマスターの特徴です。

スイートロードは昔から「オメガ」が得意なお店ですので、あなた好みの1本が見つかるはずです。

興味を持たられた方はぜひ、お店まで足を運んでみてはいかがですか?