ロレックスのジュビリーブレスレットの歴史
前回のTOPIC「ロレックス・オイスターブレスレットの歴史」では、ロレックスの代名詞とも言える三連ブレスについてご紹介させていただきました。
今回は、ロレックスの中でも高級モデルに装着されることが多い「ジュビリーブレスレット」について深掘りしたいと思います。
目次
・折りたたみリンクとバックルを備えた“巻きジュビリー”(1956年頃〜)
・ソリッドリンクを備えたロングセラーモデル(1975年頃〜)
・GMTマスター用として再登場したオイスターロック仕様(2018年~)
ジュビリーブレスレットとは
ジュビリーブレスレットは、“ロレックスが初めて自社でデザインした”オリジナルのブレスレットです。
5つの半円形の細かいリンクを採用することで、手首にぴったりとフィットし、非常にエレガントな印象を与えてくれます。
このデザインは非常に象徴的なものとなり、ロレックスといえば「ジュビリーブレスレット」を思い浮かべる人も多くいます。

最初のジュビリーブレスレット(1945年〜1956年頃)
18金仕様のリンクに、フラット・ツーピースクラスプと一体型の留め具が特徴の初代ジュビリーブレスレット(型番はありません)。
1945年11月下旬に開催された「ウィルスドルフ&デイビス(ロレックスの旧社名)」の40周年記念式典にて、デイトジャストと共に発表されました。
「Jubilee(ジュビリー)」とは、“ 特別な年や出来事を盛大に祝う祭りや喜びの期間 ” という意味があり、まさにこの時のロレックスにぴったりの言葉でした。

折りたたみリンクとバックルを備えた“巻きジュビリー”(1956年頃〜1970年代)
代表的なモデル
・6251H(SS)
・6251/3 H(YGコンビ)

オイスターブレスレットの「フォールデットリンク」と同じく、一枚のスチール板を折り重ねたコマが連なったモデルで、通称「巻きジュビリー」とも呼ばれています。
型番の後ろの記号はフランス語で、H(Homme:男性)、M(Moyen:中間)、D(Dame:女性)の頭文字が付けられており、それぞれサイズが異なります。

非常に軽く、滑らかなため、数あるブレスレットの中でも着け心地が一番良いと言っても過言ではありませんが、どうして使用しているうちに伸びてしまうという欠点がありました。
ロレックス自身もその特性については早い段階から気づいていたため、次世代からは仕様が大きく変更されています。
デイトジャスト、ターノグラフ(サンダーバード)の他、GMTマスターのオプションとしても採用され、 ジュビリーブレスレットが装着されるモデルとして現在まで定着しています。
ヴィンテージロレックスに装着されるブレスレットの中でも特に人気が高く、現存しているだけでも評価されています。
また、製造された年代や国、ケース素材などによって多数のバリエーションが存在するのも巻きジュビリーの特徴の一つです。

左から、USA製14KT、USA製、メキシコ製、スイス製初期型(通称デベソバックル)、スイス製サイドミラー、スイス製ボックスクラスプとなります。
オイスターブレスレットの記事でご紹介した通り、当時はジュビリーブレスレットも単独で販売されていました。

B218、B219がジュビリーブレスレットのカタログナンバーですが、オイスターブレスレットが15ドルなのに対し、ジュビリーブレスレットは25ドルと高額だったことがわかります。
ソリッドリンクを備えたロングセラーモデル(1975年頃〜2007年頃)
代表的なモデル
・62510H(SS)
・62523H(YGコンビ)

両側に無垢素材のリンク、中心に繋ぎ目のない輪っか状のリンクを3つ組み合わせ、リンク間をネジで繋ぎ合わせることで、長さ調整のしやすさや堅牢製に優れたブレスレットです。
巻きジュビリーの伸びてしまうという欠点を解消しつつも、ジュビリーブレスレットならではの着け心地の良さがしっかりと残されています。

デイトジャストのみならず、エアキングやオイスターパーペチュアルデイト、GMTマスターのオプションとしても販売されており、時計を購入する際にオイスターブレスレットとジュビリーブレスレットを選択することが可能でした。
2007年頃までの約32年間も作り続けられていた、ロレックスの傑作とも言えるモデルです。
1988年当時のカタログを見ると、5500/エアキングのオプションとしても明記されていました。(カタログ表記はB6251)

コンシールドクラスプ仕様の無垢素材(2004年〜)

DATEJUST Ref.116200
ブレス中央部分のコマが無垢になり、素材がふんだんに使われるようになりました。
バックル部分には「コンシールドクラスプ」と呼ばれる、金無垢製のRef.8386やプレジデントブレスレットと同じ、バックルが目立たないデザインが採用されており、高級感とともに人気も増しています。
この頃のジュビリーブレスレットは、GMTマスターには採用されておらず、デイトジャスト専用という位置付けでした。
GMTマスター用として再登場したオイスターロック仕様(2018年~)

GMT MASTER Ref.126710BLRO
「GMTマスター/Ref.126710BLRO」より、オイスターロックを備えたジュビリーブレスレットとして、デイトジャスト以外のモデルにも再び採用されることになります。
ロレックスが持つブレスレットの良さを最大限に引き出した、堅牢性と高級感を兼ね備えた現行モデルです。
専用モデルとして開拓された個性的なジュビリーブレスレット
1970年代に登場したジュビリーブレスレットの中には、一つのモデル専用に開発されたものも存在します。
Ref.17013、Ref.17014といったオイスタークォーツに採用されているジュビリーブレスレットは、ケースと一体となったボリューム感のあるデザインが特徴で、通常のオイスターケースとは互換性がなく、独自の路線を開拓しています。

OYSTER QUARTZ DATEJUST Ref.17014
最初のジュビリーブレスから派生した金無垢製

上:Ref.6311(1950年代初頭〜)
最初のジュビリーブレスレットが誕生してから数年後、1950年代初頭に「Ref.6311」が登場しました。
素材は同じく金無垢が使用されていましたが、フラット・ツーピースクラスプから、現在でも馴染み深いボックスクラスプに変更されたことで、使いやすさが大幅に向上しました。
デイトジャストやGMTマスターの金無垢モデルのオプションとしての販売もされていましたが、革ベルトモデルの倍の価格になってしまうほど、当時としても最高級品でした。
下:Ref.8386(1970年頃〜)
上で登場していた「コンシールドクラスプ」を採用した、プレジデントブレスレット近いデザインのモデルです。
当時は「hidden clasp(ヒドゥン・クラスプ)」や「invisible clasp(インビジブル・クラスプ)」という名称も付いていました。
上記の「Ref.6311」と並行して製造されていたため、「Ref.8386」もデイトジャストやGMTマスターの金無垢モデルのオプションとして選択することが可能でした。

1988年当時のカタログを見ると、デイトジャスト(Ref.1601/8)の場合、6311よりも400ドル高かったようです。
まとめ
ジュビリーブレスレットと一口に言っても、非常に奥が深いことがわかっていただけましたでしょうか。
昨今の気温上昇などを考えると、ジュビリーブレスレットの方が風通しが良くて快適に過ごせる、なんて方も多いかと思います。
もし、オイスターブレスレットとジュビリーブレスレットが取り付けられた同じモデル2本並んでいたら、一度ジュビリーブレスレットの方を手に取ってみてください。
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