エクスプローラー(EXPLORER)とは

目次

エクスプローラーの誕生

エクスプローラーとは

エクスプローラーⅠ

エクスプローラーⅡ

カナディアンエクスプローラー

エクスプローラーの魅力


エクスプローラーの誕生

ロレックスは、1930年代から各国のヒマラヤ遠征隊への装備品として、ロレックスのオイスターモデルの腕時計を提供していました。

そして、それらの遠征隊からのフィードバックを元に、プロフェッショナルモデルの開発を進めていきました。

そして、ついに、1953年5月29日、イギリスの遠征隊のメンバーでニュージーランド出身の登山家であるエドモンド・ヒラリーとネパール出身のシェルパであるテンジン・ノルゲイによって初登頂がなされました。

この際にもロレックスのオイスターモデルが携行されており、8000m超えの過酷な環境下においても正確に時を刻み、ロレックスの堅牢性、信頼性を証明しました。

そして、ロレックスは同年、「世界最高峰のエベレスト初登頂」という偉業をたたえ、初代エクスプローラー「Ref.6350」を発表しました。

「エスクプローラー」はその名の通り、過酷な環境下でも耐えられる高い耐久性と、極限の条件でも正確な時間を提供する精度を誇る、冒険家や探検家のための時計として誕生したわけです。


エクスプローラーとは

「エクスプローラー」には、「エクスプローラーⅠ」と「エクスプローラーⅡ」という2つのモデルがあります。

「エクスプローラーⅠ」は、シンプルで直感的に時間を確認できる腕時計として、絶大な人気を誇る時計です。

シンプルでありながら過酷な環境下での使用にも耐えられる実用性を備えています。

ケースには、ロレックスが誇る「オイスターケース」が採用されており、防水性を担保しています。

また、文字盤は、昼夜問わず時間を簡単に読み取れるように設計されており、3、6、9のアラビア数字がはっきりと表示されています。

また、時刻が視認しやすくなるよう、太くて長い針と大きなインデックスが採用され、暗闇でも視認性が高くなるよう、インデックスには夜光素材が使われています。


このように、通常の腕時計としても非常に完成度が高く、使い勝手と視認性に重点を置いたシンプルなデザインと高い耐久性から、ビジネスシーンにおいても好まれています。

「エクスプローラーⅡ」は、「エクスプローラーⅠ」をさらに進化させ、24時間表示機能を付加したモデルです。

これにより、昼と夜の時間帯を区別することができ、洞窟探検や極地探検など、時間帯が分かりにくい環境下での使用を想定した、より専門家(プロフェッショナル)向けのモデルとなっています。

とはいえ、こちらの「エクスプローラーⅡ」も、文字盤が「ブラック」と「ホワイト」の2色が用意されていたり、日付表示があるなど、日常使いにおいても使い勝手が良く、「エクスプローラーⅠ」同様、ビジネスシーンにおいても支持されているモデルです。


エクスプローラーⅠ

第1世代(Ref.6350/6150)

キャリバー:A296(セミバブルバック)
50m防水
製造期間:1953年−1954年

エクスプローラーの1stモデル。

このモデルから今も採用され続ける「3/6/9」のアラビア数字のインデックスデザインを採用。

このモデルの最大の特徴は、文字盤。

ロレックスのロゴやクロノメーター表記は、金色の文字色で、通称「ゴールドレター」を採用。

黎明期ゆえに、「ギルトダイヤル(ブラックミラーダイヤル)」のほかに、「ハニカムダイヤル」仕様も存在します。

また、針も、時針が長い「ロングベンツ針」や、秒針の先に夜光ドットを備えた「ロリポップ」、時針がベンツ針ではなく「ペンシル針」など、複数の種類が存在しており、ロレックスの試行錯誤の跡が散見されます。

第2世代(Ref.6610)

キャリバー:1030
50m防水
製造期間:1955年−1958年

世界初の両方向巻き上げ式ムーブメント「Cal.1030」を採用。

これにより、ムーブメントが従来よりも薄くなり、裏蓋の形状も従来よりも平らな形状になりました。

文字盤は、「ギルトダイヤル(ブラックミラーダイヤル)」、針は「ベンツ針」と「ペンシル針」(ともに金色)を採用。

秒針は「金色」と「白色」の仕様があり、また夜光ドットも大小、2種類が存在します。

分目盛りは文字盤の外周にチャプターリングが入る「サークル」仕様。

第3世代(Ref.1016)

キャリバー:1560/1570
100m防水
製造期間:1959年−1990年

Ref.1016は、エクスプローラーⅠの中でも最も長い生産期間(約30年間)を持つモデル。

生産期間が長い分、マイナーチェンジによる仕様違いが複数種類存在し、仕様によって市場評価が異なります。

文字盤は、「チャプターリング付きのギルトダイヤル(1959年〜1964年)」、「チャプターリングなしのギルトダイヤル(1964年〜1967年)」、「マットダイヤル(1968年〜1990年)」の、大きく3タイプに分類されます。

針は銀色(クロームメッキ)仕様を採用。

夜光塗料は1963年ごろを境に「ラジウム夜光」から、より放射線量の少ない「トリチウム夜光」に変更されました。

夜光の灼けたオールドな佇まいの個体や、灼けの少ない綺麗めの個体など、50年代から90年代までの個体が存在するため、年式やエイジングの具合によってモデルとしてのイメージが違うのも「Ref.1016」の魅力です。

第4世代(Ref.14270)

キャリバー:3000
100m防水
製造期間:1990年−2001年

いちばんの特徴は、文字盤が「マット仕様」から艶のある「ラッカー仕様」に変更された点と、それに伴いインデックスにホワイトゴールド製の枠(縁)がついたアプライドインデックスに変更された点です。

また、この時期のロレックスは、他のモデルでも同様の仕様変更されており、これにより、俗にいう「マットダイヤル」「縁無しインデックス」は姿を消しました。

また、風防も従来の「プラスチック製」から「サファイアクリスタル製」の変更され、より堅牢かつ現代的な印象にアップデートされました。

夜光塗料においても、当初は「トリチウム夜光」仕様でしたが、1997年ごろを境に、放射性物質を含まない「ルミノバ夜光」に変更されました。

第5世代(Ref.114270)

キャリバー:3130
100m防水
製造期間:2001年−2010年

Ref.114270は2001年に登場し、先代のデザインとスペックはそのままに、ムーブメントにCal.3130を採用して登場しました。

外観においては、大きな変更点はないものの、サファイアクリスタル風防に「王冠マークの透かし(下記の画像参照)」が入ったり、ケースの内側(文字盤の見返し部分)に「ルーレット刻印」が入ったり、ブレスレットのフラッシュフィットが一体型の無垢パーツにブラッシュアップされるなど、より時計としての完成度が高められました。

第6世代(Ref.214270)

キャリバー:3132
100m防水
製造期間:2010年−2021年

いちばんの特徴は、ケースサイズが36mmから39mmに大型化された点です。

時代的な流れを受けて、エクスプローラーにおいても大型化の波が押し寄せてきたわけです。

また、文字盤の「EXPLORER」のモデル名のロゴ位置が、従来の12時位置から6時位置に変更されました。

当初のモデル(前期型)では、文字盤の分目盛りまで届かないやや短い分針が採用され、アンバランスな印象を抱かれましたが、マイナーチェンジ(後期型)によって、分目盛りに届く長さの分針に変更されました(画像は後期型)。


エクスプローラーⅡ

第1世代(Ref.1655)

キャリバー:1570
100m防水
製造期間:1971年−1983年

エクスプローラーⅡの初代モデルは、エクスプローラーの上位機種として1971年に登場しました。

機能面での特徴としては、24時間計と日付表示を採用した点で、この機能は、洞窟探検や極地探検など、昼夜がわかりづらい環境での使用を想定し採用されました。

デザイン面での特徴としては、インデックスは他のモデルと異なり、ドット型ではなく長方形で、外周部には24時間針用のスクエア型のインデックスが採用されている点です。

また、針に関しても、ベンツ針ではなく白くペイントされたペンシル型の針が採用されており、24時間針はオレンジ色の大型の24時間針となっており、このモデルの最大の特徴とも言えます。

しかし、斬新なデザインや視認性にやや劣る点などから、販売当時はそこまで支持されず、製造期間は長いものの流通数は少なく、それゆえ、今となっては希少性が高く、市場価格は高めとなっています。

第2世代(Ref.16550)

キャリバー:3085
100m防水
製造期間:1984年−1988年

第2世代のRef.16550は、デザイン面で大きく刷新しました。

初代のデザインは踏襲せず、他のプロフェッショナルモデルと同様のデザインを採用しました。

さらに、このモデルから文字盤のカラーが、ブラックの他に、アイボリー、ホワイトのカラーが採用されました。

特にアイボリーは、この第2世代のみの採用のため、現在でもコアなファンから支持されています(上記画像参照)。

第3世代(Ref.16570)

キャリバー:3185/3186
100m防水
製造期間:1989年−2011年

1989年に登場したRef.16570は、ムーブメントにCal.3185が搭載され、精度が向上しました。

また、同時期に製造されたエクスプローラー同様、「夜光塗料の素材変更」、サファイアクリスタル風防の「王冠マークの透かし」、ケースの内側(文字盤の見返し部分)の「ルーレット刻印」、ブレスのバックルの「ダブルロック化」など、ブラッシュアップを行い、より完成度を高めていきました。

第4世代(Ref.216570)

キャリバー:3187
100m防水
製造期間:2011年−2021年

2011年に登場したRef.216570は、ケースサイズが42mmに拡大され、デザイン面においては、初代モデルの特徴的なデザインである大型24時間針を復活させました。

文字盤は「ブラック」「ホワイト」の2種類の展開で、文字盤の「EXPLORER Ⅱ」の文字は、オレンジ色に変更され、24時間針のオレンジとともに、このモデルのアイコニックな要素となっています。


カナディアンエクスプローラー

Ref.5500/Ref.5501/Ref.5506

エクスプローラーの派生モデルとして、1950年代後期から1960年代初頭には34mm径のボーイズサイズモデルも存在しています。

北米市場向けに極僅かに製造されていたことから、通称「カナディアンエクスプローラー」と呼ばれています。

カナディアンエクスプローラーには、様々なバリエーションが存在しますが、針やインデックス含むダイヤルデザインが通常のエクスプローラーとは大きく異なります。

スポーツモデルというよりも、よりスタンダードモデルに近いデザインが採用されており、クラシックなイメージが強調されています。


エクスプローラーの魅力

ロレックスのエクスプローラーは、そのシンプルで無駄のないデザインと、極限の環境でも信頼できる性能で、多くの時計愛好家や冒険家を魅了してきたモデルです。

その魅力は、機能美とストーリー性に裏打ちされたモデルである点に集約されます。

シンプルなデザインと機能美

エクスプローラーは、ロレックスの中でも装飾を極力排したシンプルなデザインが特徴です。

3、6、9時位置のアラビア数字と、視認性に優れたバーインデックスの組み合わせは、時代を超えて愛され続けるデザインです。

シンプルであるがゆえに、ビジネスからアウトドアまで、シーンを選ばず使える万能さが魅力です。

冒険家たちの信頼を得た堅牢性

エクスプローラーという名前が示す通り、この時計は探検や冒険を想定して設計されています。

1953年にエベレスト登頂に成功したことで誕生したエクスプローラーは、その後も過酷な環境下で耐えうる堅牢性と精度を追求してきました。

オイスターケースによる防水性能、パーペチュアル機構による自動巻きムーブメントは、どんな状況でも頼りになる相棒です。

歴史とストーリーが宿る実用時計

エクスプローラーの歴史は、単なる時計の進化ではなく、人類の探検の歴史と共にあります。

エベレスト登頂や北極・南極探検など、数々の偉大な冒険に寄り添ってきたこの時計は、「未知の領域への挑戦」というスピリットを体現しています。


まとめ

エクスプローラーは、そのシンプルなデザイン、堅牢な性能、そして冒険の歴史を刻んだストーリーが見事に融合した時計です。

時計としての実用性とロマンを求める方にとって、これ以上ないパートナーと言えるでしょう。

今持って人気を誇っている理由がおのずと理解できるはずです。