時計ケースのホールマークについて

目次

・ホールマークとは

・主な刻印場所

・日本のホールマーク

・スイスのホールマーク

・イギリスのホールマーク


ホールマークとは

ホールマークとは、金属製の製品に刻印される公式の刻印のことです。

主に貴金属(プラチナ、金、銀、一部の国ではパラジウムなど)の含有量を証明するために使用されます。

様々な国で使用されていますが、ここではヴィンテージ時計に馴染みの深い「日本」「スイス」「イギリス」のホールマークについてご紹介いたします。


主な刻印場所

時計によりホールマークの場所は異なりますが、ほとんどの場合

「ラグの裏側」

「ケース側面」

「裏蓋の表または裏」

に刻印されています。


日本のホールマーク

1929年に大蔵省造幣局の「貴金属製品品位証明規則」が定められ、造幣局の厳しい検査を行い、合格した製品に「日の丸のホールマーク」「純度を示す数字」が刻印されています。

日本の検定制度は任意の制度として設けられているため、市販されている貴金属製品には、品位表示(18Kや750)のみの製品も沢山流通しています。


スイスのホールマーク

スイスのホールマークの歴史は15世紀のジュネーブで始まりました。

皿、プレート、ボウル、燭台などにスイスの各州で刻印することが義務付けられていましたが、1882年以前は、金製または銀製の時計ケースにホールマークを刻印することを義務付けるスイス連邦法はありませんでした。

そして、1880年のスイス連邦貴金属統制法により、時計ケースに使用される貴金属の純度に関する基準が導入されます。

さらに幾度かの改訂を経て、1933年には時計ケースのみに適用される「9金」という新たな法的基準が導入され、1994年まで使用されることとなります。

「金属の種類と純度を表すマーク」「金属の種類と純度を表す数字」の2つが刻印されることがほとんどですが、ラグの裏などの細かい箇所の場合、上記のマークのみ刻印されている場合もございます。

こちらは「18金無垢」のロレックス・デイデイト Ref.1803の裏蓋です。

品位表示「18K 0.750」、スイス国内で製造された「Helvetia/ヘルヴェティア」(スイスを象徴する女性)が刻印されています。

こちらは、カルティエ・マストタンクの裏蓋です。

ヴェルメイユケースを表す「花の刻印」「銀無垢(925SV)」の品位表示、スイス国内で製造されたことを示す「Duck(アヒル)」が刻印されています。

1995年以降、上記のホールマークは統一され、スイスで製造またはスイスに輸入されるすべての金・銀・プラチナ・パラジウム製の時計ケースには、「セントバーナードの頭部」を描いた公式のホールマークを刻印することが義務付けられました。

こちらは、同じくカルティエ・マストタンクの裏蓋ですが、1995年以前のモデルとは刻印が異なっています。

スイスのホールマークには製造年を表すデイトレターはございませんが、セントバーナードかそれ以外かで1995年以前・以後の判断ができます。

ちなみに、上記のモデルは品位表示に関しても「天秤に純度の数字が組み合わさったもの」に変更されています。

この品位表示は、1972年に主なヨーロッパの国々で貴金属製品を共通の刻印で運用するための条約、通称ホールマーク条約(またはウィーン条約)が制定されたため、品質の象徴として「CCM(コモンコントロールマーク):共通管理マーク」を示しています。


イギリスのホールマーク

イギリスのホールマークの歴史は、12世紀にヘンリー3世が制定したのが始まりとされています。

1739年頃、法令によりマークの使用が厳格化され、現在でも続くホールマークの基準が導入されました。

現在使用されているホールマークは主に5種類。

品位表示:純度の数字表記

スタンダードマーク:ライオンパッサント、王冠など(1998年にオプション化)

アッセイマーク:金属の査定を受けた場所

デイトレター:年代別刻印(1998年にオプション化)

メーカーマーク:工房の刻印

時計の裏蓋やブレスレットなどに刻印されており、マークの組み合わせにより製造された年式を特定することができます。

こちらは、「9金無垢」のオメガの裏蓋です。

オメガはスイスのメーカーですが、本個体はイギリス市場にのみ供給されていた「デニソンケース」が使用されているため、品位表示などに関してもイギリスのホールマークが刻印されています。

時計のケースやジュエリーのみならず、食器やボタンなどの日用品に至るまで、様々な貴金属製品に刻印されています。

製造年式に関しては、「アッセイマーク」と「デイトレター(アルファベット)」の組み合わせで判別することが可能です。

下記、参考リンク集にて、イギリス製の貴金属製品の年式がわかるサイトをご紹介しておりますので、ぜひご活用ください。


参考リンク集

・日本造幣局 貴金属製品の品位区分と証明記号(外部リンク)

・GOLD TRADERS Hallmark Wizard(イギリス製貴金属刻印の識別:外部リンク)