ヴィンテージ、またはアンティークウォッチに興味がある方なら、
必ずぶち当たる疑問と言えるでしょう。
なぜ研磨が多くされているものより、
ノンポリッシュの方が良いと言われているのか。
皆さんは答えられますか?
単に「ノンポリッシュの方が良いと言われているから」ですか?
それとも、「ノンポリッシュが評価が高いから」ですか?
どれも正解です。
ただし、本質が見えていない可能性があります。
なぜ、ノンポリッシュが良いか、
自分が聞かれたら、こう答えます。
「美しいからです」
なにが言いたいかって。
「ノンポリッシュだから評価されている」のではなく、
「ノンポリッシュで美しいから評価されている」ということです。
そして、評価されるから「ノンポリッシュの方が良いと言われている」わけです。
一番本質的な部分に気づいて欲しいので、ここに記しました。
ところで、さっきから言っている美しいって何?
と思う方もいると思いますので、
サンプルを挙げておきます。
なんの変哲も無いジュネーブに見えるかもしれませんが、
フルオリジナルのノンポリッシュの個体となります。
この画像で見て欲しい所はベゼルです。
よーく見ると、2段になっているのがわかると思います。
磨いてしまうと、この角張った所がなだらかになってしまいます。
横からも見てみましょう。
ミドルケースの角もしっかり残っています。
究極この角については再現できないことはないですが、
削ってしまう以上、本来の姿とは微妙に違ったものになります。
裏を見ると
小傷はご愛嬌だと思っていただいて、
オメガのマークは磨いてしまうと、
薄くなってしまったり、文字を引っ張ってしまって
微妙に違う感じになります。
また、オープナーの溝の角も少しなだらかになります。
といった具合です。
結論、
磨きをかければかけるほど、
オメガのデザイナーの意匠から、
少しづつ離れていってしまうということになります。
つまり、
磨きを入れていない状態こそが、
一番美しく見える状態と言える
ということになります。
なかなか回りくどい言い方になってしまいましたが、
伝わりましたか?
今回はあくまで一例ですので、
全ての時計に言えるというわけではないです。
また、磨きが悪であるという話でもありません。
あくまでも、なぜノンポリッシュが良いのかという観点で、
お伝えしておりますので、悪しからず。